今までの違反の裏に隠していた心も、昨日の言葉の意味も、今日違反をしなかった理由も、全部全部わかった。


そして、自分の気持ちにも。




「し、んどうくん……?」




君はこんなにもわかりやすく真っ直ぐと想いをぶつけていたのに、俺は気づけなかった。


俺って案外鈍かったんだな。




「永井さん」




毎日毎日校則違反する永井さんを注意してきた俺は、本当は薄々わかっていたんだ。


永井さんは注意すればすぐに直してくる。


そんな素直で純粋な彼女の“イタズラ”に気づいていながらも、それをはっきりと言わなかったのは、もっと君と話していたかったから。



クラスメイトとしてじゃない、俺と君との特別な接点が欲しかったからなんだ。


ちょっと背伸びをした永井さんに、いつから俺はこんな気持ちを抱いていたんだろう。