【短】ねぇ、こっち向いて。





振り返れば、クラスメイトと楽しげに話す永井さんの姿が。



どうして、モヤモヤするんだろう。


まるで校則違反している永井さんの方がよかった、と思ってるみたいだ。


……そんなわけ、ないのに。



これでいいんだ。注意せずにいられる今が、一番いいはずなんだ。


自分に言い聞かせるみたいに、俺は何度も心の中でそう呟き続けた。







――昼休み。


俺は今日も、図書室で勉強をする。


自分のために、将来のために。



でも今日は、はかどらない。



問題を解くスピードがだんだんと遅くなっていき、しまいには手が止まってしまった。


こんなこと、今までなかったのに。



どうしたんだ、今日の俺は。