「また、永井か」
すると、生徒玄関近くにある生徒指導室からあたしの名前が聞こえてきて、ふと足を止める。
「お前も大変だな、進藤」
し、進藤くん!?
好きな人の名前が聞こえ、あたしは生徒指導室の扉に片耳を当てて盗み聞きをする。
やっぱりさっき聞こえた「永井」ってあたしのこと……?
「ほとんど毎日違反してる永井には迷惑してるだろ」
風紀委員担当の先生のため息混じりの言葉が、チクリとあたしの胸を刺した気がした。
……め、いわく?
考えたこともなかった。
進藤くんに恋してることに夢中で、進藤くんが迷惑していることなんて想像もしてなかった。