幸せの形

「怒らないで、ウソじゃないってば」

柔らかく笑うと、真剣にそう言った。

「ウソだ…」

「え?」

「ウソをつくの好きなクセに」

じと目で千歳は、せいいっぱいの反撃をした。

「なるほどー良く見てるね。うん、そうかもね」

どうやら自分で気づいていなかったらしい…新しい発見に感心している。

「でもね、好きなのは本当、かわいいと思っているのも本当、からかいがいがあると思ってるのも…」

と言いかけて、自分が口がすべっていることに気づいた。

ヤバ、という顔をして口を手で押さえると千歳の反応をうかがう。

「…それは信じる」

千歳はムスッとした顔で、鳴海をにらみつけた。

「あはははは…」

鳴海は大爆笑して、店内で笑いころげた。






「お父さんの人生はね、笑いがたえない…いい人生だと思うよ?この人のおかげで」

自分を指して息子に人生を語っている夫に向かって、さつきはムスッとしながら口をはさんだ。

「…それ、大爆笑の間違いじゃない?」

そのセリフに、父と子は目を見合わせると、

「それは違いない!」

と言って二人は腹を抱えて大爆笑した。

笑いが家中に、こだまする。

さつきも二人が笑っているのを見ているうちに、なんだかおかしくなってきて、笑いに参加してしまった。

そして心の中に、ふと昔思った幸せの形が見えた気がした。


これだったんじゃないかな、たぶん…



(おわり)