早朝、姉達は帰ってきた。

「ただいまっ!リン。」

「おかえり。カレン、マリア。」

「お話聞かせてあげるよ。」

顔を見合わせて、笑う2人は、鏡と向かい合っているように見えた。

その姿に、心が痛む。

カレンが優しく私を抱きしめた。

肩越しに見えるマリアも、優しい瞳でこちらを見ている。

ー水面から顔を出した時、空にね、きらきらしたものが見えたの。

本当に綺麗だったわ。

お母さんから聞いた『星』だって気づいて。

こんなに沢山あるものなのって、驚いたわ。

それにね、すごく綺麗な、『お城』があったの。

白と青の、お母様が言った通りのものだったわ。

人間の世界って、本当に綺麗よ。ー

2人の話す世界は、どれも魅力的だった。

他にも、『動物』がいる『森』。

朝日の美しい光。

母の話と同じ、美しい世界。

2人のエメラルドグリーンの瞳は、その美しい世界の象徴だと思った。

「リンが15歳になったら、私たちに」

「おねーちゃん、ありがとう。

私も、見てみたいな。」

これは、私の本当の気持ち。

嘘はない。

「うん。楽しみね。」

ふたりの姉達は私を抱きしめ、背中をトントンと叩いた。

それが、とても心地よい。

この時だけは、あの魔女の事も、不安も、全て忘れていた。

素直に、15歳の誕生日が楽しみだった。