シエルの調査票を作ってくれたドクの知り合いの情報屋の地図を片手に、
わたしは初めてのノール村の地を踏む。
ノール村は整備が行き届いていないため、入り口までしか車が入れない。
ここから先にある民家に行くには歩くか自転車しか方法がない。
自転車は持っていないから、わたしたちは歩いてセレーネ家へ向かう。
まだ雪が山積みになる道を見ながら、
わたしは風の音しか聞こえない静かな荒れた道を通る。
時々自分の足やドクの足が葉っぱを踏み、その音で驚くほど静かだ。
「本当…静かな場所ね」
「ええ…本当に人が住んでいるのか疑うほどですね」
街灯のない道を歩きながら初めての地をキョロキョロ見ていると。
「…お嬢様、人がおります」
「え?」
使われているのか疑いたいほど古びたバス停の近く。
厚着をしたおばさんたちが数名立ち話をしていた。
随分盛り上がっているようで、笑い声も聞こえた。



