「お待たせ致しました、お嬢様」
「出来る限り飛ばしてちょうだい」
家のある中心街から、国の北に位置するノール村までは車で半日ほどかかる。
セレーネ夫妻とシエルはお父様から、
ノール村まで1日1本走る電車の切符を貰っていたので、
今はきっと電車の中。
セレーネ夫妻は夜行バスを乗り継ぎ、昨日家を出たと聞いている。
「お嬢様。
道のりは長いのでお休みください」
「駄目よ。
心配で眠れそうもないわ」
「……お嬢様、あなたは…」
「え?」
「……いえ、何でもありません。
ご気分が悪くなったらいつでもお声掛けください。
念のため、医療セットは持ってきていますから」
「わたしもあたたかい飲み物と、冬物の上着を2枚持ってきたわ。
念のために、ね」
「気が合いますね、お嬢様」
「そうね、ドク」
わたしは車中でクスクス笑った。



