「……おはようございます」
「あら。おはようシエル」
静かに寝息を立てて眠っていたシエルが起きる。
考え事をしていたわたしは現実に戻り、笑みを作った。
「朝ご飯食べましょう?」
「……いらないです」
「食べないと駄目。
熱は下がったみたいで良かったね。
タオル取るから触れるね」
事前に触れることを言っておいたからか、シエルは震えることもなく、わたしは額に乗せてあったタオルを取った。
一晩過ごしすっかり生ぬるくなった洗面器にタオルを浸し、軽く洗っていると。
「……聞いても、良いですか」
「え?」
「ずっと…僕のこと、診ていてくれたんですか」
「そうだよ。
熱が高いからすぐにタオルもぬるくなっちゃうもの」
「……寝ましたか?」
「寝たわよ。当たり前じゃない」
実際は一睡もしていないけど、わたしは嘘をついた。
シエルがわたしが起きていたことを気にしてしまうかもしれないから。
最後の最後ぐらい、わたしだってかっこつけたいわ。



