お父様とお母様が、聞くことなく施設にした理由。
それは、村に住む大半の子どもが、両親を亡くしているからだ。
病気になってもお金がなく治療してもらえない貧しい家の親は、
子どもを残し亡くなるケースが後を立たない。
村出身だというシエルの両親もきっと、亡くなっていると思ったのだ。
生きているケースは、村では本当に珍しいことだから。
「わかりました。
では旦那様と奥様に伝えておきますね」
「ありがとうドク。
同時にあなたに謝らないといけないわね」
「何故ですか?」
「情報網のあなたに、シエルの全てを調べるよう言ったのに。
調べ終わる前にシエルがわたしから離れるんだもの。
せっかく調べてもらっているのに、ごめんなさいねドク」
何も自分を言わなかったシエル。
わたしはそんなお友達のことが知りたくて。
情報網のドクに、シエルを調べてくれるようお願いしたのだ。
今ドクの知り合いである国の情報屋たちは、様々な方法でシエルを調べているんだろうけど、無駄に終わってしまった。
「構いませんよお嬢様。
わたくしも楽しかったですから」
「え?」
「初めてでしょう?
わたくしに情報屋の知り合いが多いと言った時、
お嬢様はいつかわたくしに頼むと言いながらも、
今まで一切頼み事はしてこなかった。
お嬢様の初めての頼み事に、わたくしは嬉しく、お嬢様の役に立てることが楽しかったのですよ」
「ドク……」
「これからもわたくしにお任せくださいませ、お嬢様」
「……ありがとう、ドク」
本業は医者のドク。
だけどその器用さと優しさから、わたしの専用執事と言う肩書きも持つドク。
とても優秀な執事に、わたしはありったけの感謝の気持ちを込めた。
「ありがとうドク。これからもよろしくね」
「はい、お嬢様」



