「……随分熱が上がりましたね」
体温計を滑り込ませシエルの熱を計ったドクは、
解熱剤の注射を刺しながら溜息をついた。
「だいぶ苦しいでしょうな……
解熱剤だけではなく、何か濡らしたものを当てていると良いかもしれませんね」
「熱を冷ますシートとか?」
「はい。それか…濡れたタオルを額に当てても良いかもしれませんね」
「じゃあわたし取ってくる!」
わたしは部屋を出て、急いで台所に行き、朝ご飯の下ごしらえをしていたシェフに頼んで
濡れたタオルと水の入った浅いバケツを用意してもらった。
「お嬢様、必死でございますね?
それほどその方が大事なのですね」
何も知らないシェフが、浅いバケツを渡しながら言う。
わたしは何も言わないで、部屋へ戻った。



