☆エルside☆




【たいほんまうしわこないのてすか、
しはらくいうぇーる様とおてかけすることになるますた

こめいわけをおかくいたすまるか、
こりかいにほと、よろすくおねかいしまそ】




「大変申し訳ないのですが、暫くイヴェール様とお出掛けすることになりました。
ご迷惑をおかけ致しますが、ご理解のほどよろしくお願いします。

…相変わらず解読が難しいわね」



わたしはシエルから届いたメールを10分ほどかけて解読し、笑う。



「しかし、お母様とのお出掛け…?一体どこへ」



こんな忙しい時期にお出掛けなんて。

これがシエルの作戦?



「んだぁこの意味不明なメールは」

「あっ!」



わたしのスマートフォンを勝手に奪い、画面を見るプーセ。

その首からは変わらず、紺色の紐と真珠がぶら下がっている。



「それ、本物なの?」

「イヴェール王妃が本物って言ったんだ」



お母様が本物って言うのなら本物なのかしら。

でも、真珠がやけに綺麗すぎる。

シエルのはもう少しくすんでいたから。




思えば、戦争が起きていた。

それにより、リュンヌ王国国王と王妃は亡くなり、ひとり息子の王子は行方不明になった。

戦争が起こったのに、真珠はこんな綺麗でいられるもの?



「…プーセ」

「あ?」

「戦争があったのは知っているわよね。リュンヌ王国に」

「知っているけど?」

「そんなリュンヌ王国王妃が大切にしていたのが月の真珠よ。
真珠、そんな綺麗になれるかしら」



プーセは何も言わず、わたしから目をそらす。



「ねぇプーセ、それ、本物?」



お母様の『本物』を疑うわけじゃないけど。

あまりにも綺麗すぎる。