☆シエルside☆
「お世話になりました」
「また来いよぉ!」
僕はアンスと、クザン家で働く使用人さんたちに挨拶をし、クザン家を出た。
クザン家はソレイユ家に劣るもののとても大きなお屋敷で。
遠くからでも目立つ赤い屋根のお屋敷なので、また遊びに来れる。
僕は「じゃあね」とクザン家を離れた。
エル様は朝早くから色々な、結婚式に関する打ち合わせだと聞いた。
どんどん話は進んでしまっている。
僕の考えた、一世一代の計画も進めなくては。
最近夜、ずっと悩んでいた。
思いついた、唯一のエル様と一緒に幸せになれる方法。
だけど、それを実行するには力量不足な気がして。
達成出来る自信がなくて、眠れなくて。
その上エル様から冷たくされて、過呼吸を何度も起こして。
クザン家でも自分自身がわからなくてぐちゃぐちゃで、アンスに迷惑をかけた。
だけど、エル様が僕を迎えに来てくれて。
抱きしめた瞬間伝わるぬくもりに、これだと気が付いた。
僕にはもう、これしかない。
あのぬくもりを離せないし、離したくない。
実行する。
もう迷ったりしない。
失敗したらそれはそれ。
やる前から諦めたら何も手に入らない。
もう1度、あのぬくもりに触れたかった。
エル様に救われた、豪雨の夜。
保護されずっと眠り続けてきて、目が覚めた僕が最初に気づいたのは、
手を繋いでいてくれたエル様のぬくもりだった。
初めて手を繋がれて、初めて知った人のぬくもり。
怖かったけど、そのぬくもりには安心した。
それからもずっと怯えていた僕を安心させてくれたのは、
エル様の笑顔とぬくもり。
計画こそ、僕がエル様に出来る最大の恩返し。



