「……でも、シエルくんには知識が足りないわよ。
国のことは国王であるエルちゃんがやったとしても、
シエルくんにはそれをサポートする力がなくては、
この国を創るなんて出来ないわ」
「……確かにシエルにはまだ至らないことだってある。
だけど、この間の成績見たでしょう。
1番最初、学校に行く前のシエルとの成績を見比べてみて。
あんな基礎しか出来なかったシエルが、応用問題だけじゃなくて、
2位の成績を修めることが出来たのよ。
国民全体が受けているわけじゃないけど、2位と言う成績は素晴らしいわ。
つまりシエルは、これからもどんどん育つって意味よ」
頑張って勉強してきた姿を、わたしは知っている。
頑張り屋さんで、心配性な所も知っている。
「今すぐ出来なくても大丈夫。
だってまだ半年ほど時間はあるんだもの。
同じぐらいの月日をかけて、
シエルは2位の成績まで成長した。
ほぼ最下位レベルから2位まで上がれたんだから、
すぐにわたしのサポートだって出来るはずよ」
最下位レベルは…ちょっと言い過ぎかもしれないけど。
シエルが成長出来る証が、あの成績。
「…………あたくしとお父様は、エルちゃんとシエルくんのお付き合いにも結婚にも反対していないの」
「えっ!?」
「シエルくんがエルちゃんのために頑張っていたのも知っているし、
シエルくんはずっと辛い思いをしてきたから、幸せにしてあげたい。
でも……国民の意見は反対派が多いのよ」
「お父様とお母様が認めるって言えば……!」
「あたくしたちが言ったからって、国民が納得するはずないわ。
国民がいて、あたくしたちが今の地位に立てるの。
国民の意見を無視するわけにはいかないわ」
わたしは黙り込む。
国民がいて、わたしたちがいる……。
「勿論全員が全員反対しているわけじゃないの。
現に先ほどアンスくんのお家から電話がかかってきて、
是非ふたりの背中を押したいって」
「アンスの家が……!?」
クザン家がバックについてくれるなんて、頼もしい!
「それに、シエルくんが革命を起こすってことで、村が一体となって応援してくれているわ。
シエルくんは村の人たちにとって、希望みたいなものなのよ」
「シエルが……」
「村の人が王族で働くことでさえも異例なのに、次期国王のハートを射止めちゃったからね」
わたしは恥ずかしくなって笑う。
ずっとずっと…助けてもらえなかったシエルが、応援されている。
……やるしかない。
「お母様。
わたし、絶対国民全員を納得させてみせる。
半年後には、わたしの即位式と一緒に、シエルとの結婚式も挙げてみせるわ」
シエルも、国民も、応援してくれる人たちも、全員守ってみせる。
ソレイユ王国、100代目正統王位継承者、エル・ソレイユの名に懸けて。



