「どうして、プーセと結ばれろなんて言ったの」
「…………」
「あんなに好きだって言ってくれたのに、どうして」
あなたを離したくない。
シエルは熱で赤くなった顔をして、必死に想いをわたしに伝えてきていた。
あんな必死なのに、結ばれろなんて言うのは、矛盾している。
「……プーセさんと、約束したんです」
「約束……?」
「はい。
僕がエル様にプーセさんと結ばれるよう言ったら、プーセさんはエル様一筋になると」
「……プーセが…?」
「僕じゃあなたを幸せにすることなんて出来ない。
ですから、何もかも全て持っているプーセさんに、エル様が幸せになるようお願いしたのです」
わたしを幸せにしたいから、シエルはあんなことを……。
「でも僕も駄目ですね……。
あなたとプーセさんが並んで笑う姿を想像するだけで苦しくなって、
間違えて足を踏み外して階段から落っこちるなんて。
その傷が原因で熱出して、僕がセッティングしたのにエル様を呼んでしまって」
「わたしを呼んだ……?」
「階段から落ちて、すぐに他のメイドさんや執事さんが気付いてくれて。
寮まで運んでいただいて、ドクさんの手当てを受けている時に、すっごくエル様に会いたくなって。
気付いたらドクさんに、エル様を呼ぶよう言ってしまいました。
ドクさんは僕の手当てをしていたので、ドクさんがメイド長さんに頼んでエル様を呼んでもらいました」
シエルは自嘲気味な笑みを浮かべる。
「ここに来てから、僕の体調が悪くなると、必ずエル様は僕の傍にいてくれました。
いつも傍にいてくれるあなたが傍にいないと、一気に不安になっちゃうんです。
矛盾していますよね……僕の行動。
幸せになってもらいたいから突き放したのに、
不安だから隣に来てもらいたいなんて。
本当は……出来ることなら僕があなたを幸せにしたかった」
シエルはぎゅっと目を瞑った。
「ずっとずっと、憧れていたんです。
あなたのように僕も幸せになりたくて。
傍にいると、憧れを通り越してあなたの1番になりたいと今度は願ってしまった。
本ッ当……僕意思が弱すぎて……自分で自分が嫌になります」
シエルは目を開け、唇を噛みながら夜空を見上げる。
星はさっきと同じように瞬いていた。
「シエル……わたしだって、シエルが好きだよ。
シエルのこと、大好きだよ。
わたしの隣にいてよ、シエルっ……!」
ぎゅっと抱きつく。
わたしもシエルも泣いていた。
相手を想う気持ちが強くて、大きすぎて。
誰か、お願い。
わたしたちの恋を、叶えて。



