心に届く歌







シエルは熱で苦しんでいるため、音に気付いた様子はない。

今部屋にいるのはわたしだけ。



……ゴクリ




わたしは唾を飲み込み、そっと、シエルの前髪に触れた。

いつもだったら過剰に反応するはずだけど、熱で気付いていない。

上げるなら、今。




わたしはそっと、シエルの前髪を上げた。





「……何、これ…………」




予想通りだった。

シエルの長い前髪の、決して上げようとしなかった先には。

音の正体が確かにあった。




紺色の紐に通された、5つの白い玉。

紐は長いみたいで、頭をぐるりと巻いていた。

シエルの黒髪に紺色の紐は溶け込んでいて、全く目立たない。

キスした時、この5つの玉がぶつかりあったのだろう。




「……って、あれ?」




紺色の紐に、5つの白い玉。

5つの白い玉には見覚えがあった。



お母様がつけていた、太陽の真珠。

オレンジ色の紐についていた、4つの白い玉。

白い玉の正体は、真珠だった。




「真珠ってこと……?
何でシエルが真珠なんて……」




それに、

紺色の紐だ。




まさかこれが。





「……月の、真珠?」





『リュンヌの王妃が肌身離さず持っていたネックレスだ。
紺色の紐に、真珠が5つほどつけられているそうだ。

だけど、リュンヌの王妃の遺体には、月の真珠がなかった。
旦那である王様の遺体にもな。

リュンヌの国民は総出で月の真珠を探したそうだが、一向に見つからぬままだ。
その上、遺体が見つかっていねぇ子どもの遺体ときた。

子どもに亡くなる直前託していても、可笑しくねぇだろ?』




アンスの言葉が蘇る。

もし、アンスの思うことが正解ならば。




「……シエルが、リュンヌ王国王子様っ……!?」




わたしは両手で口を覆った。