心に届く歌








「39度2分……だいぶ上がりましたね」



ワイシャツではなく、ドクに寝間着に着替えさせてもらったシエルは、解熱剤の点滴を受けながら高熱にうなされていた。



「……お嬢様、シエル様の風邪がうつりましたか?」

「えっ!?」

「お顔が真っ赤ですよ」



わたしは頬をバチンッと両手で挟み込む。

確かに熱い。



「大丈夫よ……風邪なんて引いていないわ」

「そうですか……?何かありましたら言ってくださいね」

「ありがとうドク」



……言えない。

シエルにキスされたなんて。

しかも上半身裸だったシエルに。



……もしあの時、わたしもシエルも全部脱いでいたのなら。

未来は少しは、変わっていたのかな。




「ハァハァッ……ドクさ……」

「シエル様どうされました?」

「熱いっ……苦しいんですっ……」

「だいぶ熱高いですからね……。
これでも解熱剤の点滴をしているのですが……。

息苦しいですか?」

「はいっ……ハァハァッ…苦しいっ…」




横向きになり、ぎゅっと胸の辺りを押さえるシエル。

ドクは「酸素マスクを持ってきます」と部屋を出て行った。



「シエル」

「エル様っ……手…」

「良いよ」



繋ごうと思い近寄ったら、シエルの方から手を出してくる。

わたしはぎゅっとシエルの手を握った。



「早くシエルの熱が下がりますように」



わたしは苦し気に息を吐くシエルを見て、その額に髪の毛の上からキスを落とした。