心に届く歌








☆エルside☆




『コンコンコンッ』

「エル様、シエルです」

「……シエル?どうぞ」




わたしはベッドの上大の字になって寝ていたのを起こす。

「失礼致します」と入ってきたシエルは、暗い表情をしていた。



「シエル……?」

「エル様、わたくしからのお願いを聞いてください」

「シエル、どうしたの?わたくしなんて」

「エル様、プーセ様と今宵結ばれてください」



わたしは頭を殴られた気分だった。

ガツンッと思いきり。



「……何を言い出すの」

「プーセ様と結ばれ、跡継ぎを生んでください。
そうしたら、ソレイユ王国が途切れることもありません」

「シエル、何を言っているの」

「今日の夜7時、プーセ様がいらっしゃいます。
その前に夕食を持ってくるようシェフにはわたくしから言っておきます。

エル様もご準備ください」

「シエルっ!!」



嫌、嫌、嫌よ。

わたしはそんな人生、望んでいない。



「シエル。
わたしはプーセとなんて結ばれない」

「エル様」

「あんな女好き嫌だ!
わたしはわたしを一途に愛してくれる人が良い!」

「……エル様」




ふわり、と少しだけ髪を片手でかき上げるシエル。

露わになった瞳は暗く、声も温度がなかった。




「あなた様は、100代目ソレイユ王国国王様です。
我が儘を言ってはいけません」

「シエルっ……!」

「それでは、わたくしは用事がありますので。
何かありましたら、内線電話でお呼びくださいませ」



シエルは前髪をおろすと、スタスタと歩き出して部屋を出て行ってしまった。

わたしはひとり、部屋に残された。



「……シエル…」




ぶわっと涙が溢れ、わたしは床に座り込んだ。

嫌なのに……我が儘なの、これは。

わたしに拒否する権利なんてないの?




「シエルっ……待ちなさいよ……シエル…っ!」




例え拒否することが許されないことでも。

シエルにだけは、言われたくなかった。