「シエル、さっきのは気にしないで」
緑茶を淹れたティーカップ片手にエル様が笑う。
「むしろ助かったわ。
シエルは悪くないんだから気にしないで」
「……でも…」
「今こうして反省出来ているでしょう?
反省は誰にだって出来ることじゃないから、大きな進歩だわ」
「……何で、そんなに優しいんですか」
僕は両手でティーカップを持つ。
「同情ならいらないです……」
「同情しているつもりはないわ。
まぁそう聞こえても可笑しくないのかもしれないけど」
「……僕に同情される価値なんて…」
「同情じゃないってば。
価値なんて気にしないのね」
立ち上がったエル様は、僕の隣に座った。
元々反対にはアンスが座っていたので、ソファーは3人座っていっぱいになった。
「大丈夫。
怖かったねシエル、大丈夫?」
「……っ」
「色々プーセに言われたとしても気にしないで。
わたしはあなたを解雇にするつもりはないし、執事にして見せるわ」
エル様は笑うけど、その中にどれほどの哀しみを秘めているかは知らない。
「テストはどうだった?」
「……時間内に、全部埋めることは出来ました」
「おっ!それなら上出来だろシエル」
アンスが自分のことのように喜んでくれる。
思えば何度もアンスに勉強を教わっていた。
アンスにとって、僕は生徒みたいなものだったのだろう。
「埋められたのなら100位以内は間違いないな」
「100位…?順位あるの?」
「あるぞ。
合格点に達したら1位か2位だろうな」
「そんなに高いのっ…!?」
「問題数が多すぎて埋めるのが大変だからな、あれ」
「…アンスは普段、何位ぐらいなの?」
成績が良いのは知っているけど、詳しくは知らない。
初めて聞いてみると、アンスはニヤリと意味ありげな笑みを浮かべた。
「楽しみにしているんだな、順位発表を」
アンスの言葉に、僕は「……わかった」と納得いかなかったけど頷いた。
エル様はあきれたような顔をしながら、「素直に言いなさいな」と言っていた。
「エル様はアンスの順位を知っているんですか?」
「知っているわよ。
順位表は新聞を通して全国民に伝わるからね」
「……え」
全国民に伝わるテスト順位。
合格点達しているのは1位か2位。
合格率は2%
……自信なくなってきたけど、きっと大丈夫だろう。



