心に届く歌








『コンコンコンッ』


「おや…お客さんかな」




僕をヒョイッと軽く抱き上げると、国王様は入り口へ向かう。

開けると、立っていたのはイヴェール王妃様だった。




「イヴェール。どうしたんだい」


「それはあたくしの台詞です。…ってあら」




王妃様は僕の頭を撫でた。




「息子がいると、こんな感じなのかもしれないわね」


「っ……王妃様…」


「シエルくん。あたくしも入って良いかしら?
ドクくんから話聞いて、居ても立っても居られなくなって」


「……どうぞ…」




中に入り、国王様は僕を膝に乗せて座った。

イヴェールさんは、国王様の隣に座った。




「シエルくん、涙こらえちゃ駄目よ」


「……でもっ…」


「この人も、最初の方は泣いてばかりいたのよ?」


「え?」


「上手く国民が望む王様になれなくて、反感もいっぱい買って、毎日毎日忙しそうにしていて。

顔色悪くても頑張っているから、多くの人に心配されるんだけど、
『大丈夫です』って無理矢理笑顔浮かべて。

夜中あたくしに愚痴りながら泣いているのを知っているから、
強がっているのを見ていて面白かったわよね」


「い、イヴェール!それ以上シエルくんに言うんじゃない!」


「エルも知らないことだから、シエルくん内緒ね?」




僕はプランタン国王様を見る。

真っ赤になって照れているのを見て、この人も悩んだのだとわかる。




「だからねシエルくん。
人間泣いても良いんだぞ」


「……」


「わしがイヴェールの前で泣いたのは、コイツを信頼、しているからだ」


「あら。
コイツ呼ばわりしておいて信頼しているなんて」


「ほ、本当のことだ」




照れているプランタン国王様と、嬉しそうなイヴェール王妃様。

幸せそうなふたりを見て、僕もいつかは誰かとこうなりたいと想った。




「泣きなさいシエルくん。
耐える必要なんてないんだ。

人は泣いた分だけ笑顔になれると…誰かが言っていた」


「誰かじゃなくて、それあたくしの言葉ですわよ」





泣いた分だけ笑顔になれる…。

僕も、幸せになって、心の底から笑いたい。




「…っ……うわああぁぁんっ…」




僕はふたりに挟まれ、ひたすら泣きじゃくった。

以前のように声を殺して泣くことなど、なかった。