「シエルくんに、お友達はいる?」
「友達…」
思い浮かんだのは、カッターナイフ。
でもそんなこと、素直に言えるわけがない。
と思ったら。
「もしかして、その手首を切るために必要なものだったりする?」
「えっ?」
プランタン国王様の目線を追うと、無意識のうちに右手で左手首の包帯を握りしめていた。
僕はパッと離して、左手を背中に隠した。
「べ……別にそういうわけじゃ…」
「聞き方を変えようか?人間の友達はいる?」
「…いないです。
こちらに来て、初めて友達が出来ました」
「彼女は?友達じゃないの?」
「彼女…?エル様のことですか?」
「違うよ。ソンジュさんのこと」
ビクッと体が反応する。
そして再び右手で左手首を握った。
「…彼女とは、その…かつての、仕事仲間で。
友達なんかじゃ、ないです」
「仕事仲間、か。
ティラン伯爵で働いていた時?」
「そうです…。
クビになって、もう関わりは途絶えたと思っていたのに…」
名前を覚えているのは、ソンジュさんだけだった。
メイド長もいたけど、ずっとメイド長と呼んでいたので、名前は覚えていない。
執事長もいたけど関わりなんて一切なかった。
それほどソンジュさんは…僕にとって異色の存在だった。
「ソンジュさんが、言っていたんだよ。
シエル・セレーネは裏切り者だって。
直球に聞くけど、キミは彼女に何をしたの?」
本当…直球だ。
僕は口を噤んだ。



