心に届く歌









「ねぇシエル……あのね」


『コンコンコンッ』




わたしの声に被さる、ノックの音。

わたしはシエルの手を握ったまま、「どうぞ」と声をかけた。

入ってきたのは、シェフだった。




「失礼致します。
シーくん!無事だったか!!」


「……シェフさん!」




シエルは立とうとして、顔をしかめてふらついた。

ポスンッとベッドに戻ったシエルを見て、シェフは驚いたように目を見開いていた。




「シーくん大丈夫か?」


「っ……大丈夫です。
ちょっと、足挫いちゃったみたいで…。

数週間すれば普通に歩けるようになるので」


「そうか…。

本当にごめんねシーくん。
一緒にあの時帰っていれば良かったね」


「いえ、シェフさんのせいじゃないです」



シエルは首の辺りを空いている手で何度もさする。

シェフは、入り口に向かって「入れ」と声をかけた。

入ってきたのは、ふたりのメイド。

手にはお盆を持っていた。