「シエル…シエル、こっち向いて?シエル」
嗚咽を漏らしながら泣きじゃくるシエルの名前を、そっと呼ぶ。
シエルは涙で真っ赤になった瞳を、わたしへ向けた。
先ほど宿していた妖しい輝きはなかった。
「……エル、様」
「シエル。もう大丈夫だよ」
「エル様っ…!」
シエルはますます強く、わたしの服を握りしめる。
「こわっ、こわっ……怖かったよぉっ…」
「よしよし、もう大丈夫だよ」
わたしはぎゅっと抱きしめ、背中をさする。
「お家に帰ろう。シエル」
「……良いのっ…?」
「え?」
「家に帰っても……良いの…?」
わたしを不安そうな瞳で見上げるシエル。
わたしは頷いた。
「良いんだよ。
シエルの帰る場所は、わたしの家だよ」
「……ありがとうっ、ございます…」
「立てる?帰ろう」
シエルは頷く。
わたしは背中をさすった。



