心に届く歌








「シエル…!?」




何を言い出すの?

殴られた瞬間を、わたしは見たのに。




「お義父さんとお義母さんを連れて行かないで!
連れて行ったらボク…ひとりになっちゃう。

お願い…ひとりにしないでっ!!」




シエルは大粒の涙をこぼす。

警察官はシエルの行動と言葉に驚いていた。




「ひとりになりたくないっ…やだっ……。
連れて行かないで……。

ひとりにしないでよぉっ!!」




シエルは目の前の警察官を、突然血まみれの手で殴った。

細身のシエルから信じられないほどの力で、警察官は吹き飛ばされた。




「シエル様!」


「やだやだっ…離してっ……ひとりになりたくないっ…!」




もうひとり殴ろうとしていたけど、ドクに後ろから掴まれ、シエルは必死に抵抗する。




「早くおふたりを連行してください。
シエル様のことは、わたくし共で何とか致しますから」


「わ、わかりました!」


「い、嫌ああああッ!
お義父さんお義母さん!行かないで!!

ボクをひとりにしないでよおおおおッ!!!」





ドクが冷静に言い、警察官が夫妻をシエルから見えない位置に連れて行くと。

シエルが子どものように泣き叫んでいた。




「嫌っ…ひとりは嫌なのっ……!
ひとりは嫌あああああッ!!」




シエルはそのまま崩れ落ちる。

ドクはそっと、シエルを座らせると、わたしを見て頷く。

わたしは頷き返し、シエルに近づき、泣きじゃくるシエルを抱きしめた。




シエルはわたしの服をぎゅっと掴み、

ただひたすら、叫んでいた。





「ひとりにっ…ひとりにしないでっ……嫌だああっ…!」