心に届く歌








「………おとう、さん…」




わたしはハッと振り向く。

シエルが額を手で押さえながら、起き上がっている所だった。

わたしが当てたハンカチは落ち、シエルの手が真っ赤に染まっていく。




「シエル……」


「お義父さん……」




シエルはわたしを通り過ぎ、義父を妖しく瞳を輝かせながら呼んだ。

濁った瞳に、わたしは映っていなかった。




「お義父さん…ごめんなさい。
ボクが、悪いんです」


「……」


「お義父さん……」




シエルは笑いながら、ゆっくり四つん這いで義父の元へ向かう。

わたしはシエルの名前を呼んだけど、シエルが反応することはなかった。