「………そ、ソイツがいけないんだ」
後ろから、男の声がする。
振り向くと、シエルの義理の父親が頬を引き攣らせていた。
「ソイツが、助けてなんて、叫ぶから。
ソイツが、貴様の元に帰りたいなんて、言うから。
ソイツが、いけないんだ。俺は、悪くない」
「………ふざけないでよ!!」
わたしはシエルの傷口を刺激しないようそっと床に置き、
渾身の力でシエルの義父を殴り飛ばした。
護身術を習うわたしに殴られたシエルの義父は、弾き飛んだ。
「あんたが100%悪いに決まっているでしょ!?
シエルに何の文句があるの!?
最初にシエルを引き取ったのはあんたたちでしょ!?
どうして親と離れたシエルを引き取ったくせに、
簡単に暴力なんて、虐待なんて出来るの!?
シエルがどれだけ傷ついたのかわかっているの!?」
触れようとしただけで悲鳴を上げられて。
いざ触れてもずっと震えていて。
夜中『両親の声が聞こえる』と眠りを妨げられて。
放っておかれた貧血が引き起こす眩暈や頭痛に苦しんできて。
全部全部………
「シエルが傷ついているのはあんたたちのせい!!
シエルを傷つけたことについて反省しなさいよ!!
もっともっと……シエルのこと大事にしてよぉ!!!」
笑顔を消されて。
体に傷を負わされて。
体力的にも、精神的にも、ずっとずっと傷ついてきた。
「シエルへの傷の深さを、知りなさいよぉ!!!」
わたしは大粒の涙をこぼしながら、叫んだ。
ありったけの、苦しさをこめて。



