「うっ……あ゛あ゛あ゛―――ッ!!」
耳を塞ぎたくなるような、シエルの声。
ドサッという音。
太った体形の向こうに見えた……倒れる細身の体。
「シエルっ!!」
わたしは男女の隙間を通り、倒れ込んだシエルに駆け寄った。
「き、貴様は!?」
「シエル!シエル!!シエルしっかりして!!シエル!」
閉じられた瞳。
殴られたのか真っ赤に腫れ上がった両方の頬。
包帯が巻かれていない左手首に走る、深い切り傷。
顔半分を覆う……流れる真っ赤な鮮血。
傍には、転がった椅子。
「シエルしっかりして!シエル!!」
「おいシエル!しっかりしろ!!」
アンスが同じように叫ぶ。
わたしはハンカチで、シエルの額を押さえた。
ダラダラと流れる血で、白かったハンカチは一瞬にして紅く染まる。
「シエルっ!!」
やだ。
やだよ。
お願い。
死なないで……シエル。



