わたしが叫ぶ間も、扉の向こうからシエルの叫び声が聞こえる。
同時に、男女のヒステリックな声も。
「シエル!」
『エル様の元に戻りたい!!』
聞こえて来た声に、ハッとする。
シエルは……わたしの名前を呼んだ。
わたしの元に戻りたいと、言ってくれた。
「お嬢様、開きました!」
「入るわよ!」
わたしだって、シエルに戻ってきてほしいよ。
シエルの、心からの笑顔を見たい。
いつだって苦しそうに耐える表情を、消したい。
「シエル!!」
取ってつけの悪い引き戸を開け、中に入る。
再び畳を土足で歩くけど、もう何も知らない。
わたしは今全身と心で、シエルを求めている。
迷わず奥の部屋へと行く。
すると、太った男女の後姿が見えた。
シエルを引き取った義理の両親の姿だった。
「黙れ――――ッ!!」
シエルではない男の声の後、
ガツンッ!と、鈍い音がした。



