「……駄目…切っちゃ駄目……
約束したんだ……執事になるって…
エル様に、恩返しするって。
だってだって……彼女が初めて、僕に優しくしてくれた人だから。
僕に世界を教えてくれた人だから。
僕に……切るなと、言ってくれた人だから」
義父の前で切っても、義母の前で切っても、クラスメイトの前で切っても。
誰も誰も、何も言わなかった。
言われたのは…ただ笑って、『もっとやれ』
僕は、
僕ハ、
ボクは。
「……止めて、ほしかった?」
切るのを。
自分を傷つけることを。
きっと誰かに……止めてもらいたかった?
『もっとやれ』じゃなくて
『この傷は増やさない』と言ってほしかった?
「……エル様っ…ドクさんっ…アンスっ…シェフさんっ…おじさんっ……」
お願い。
止めて。
僕を、止めて。
死にたくない。
傷つきたくない。
生きたい。
幸せに、なりたい。



