心に届く歌








――それから何時間経っただろうか。

気が付けば意識が朦朧としていて、目の前が白黒にチカチカする。

狭い視野の中、辛うじてふたつの人影が確認出来た。





「今日はこれぐらいにするか」


「ええ。
久しぶりに休みたいわね」


「シエル、出たら許さねぇからな」




僕を置き、部屋を出て、鍵を閉める両親。

ガチャンと南京錠がかかる音がした。





「……っ、いたっ」




起き上がろうとすると、痛みが全身に走って再び床に倒れる。

全身がズキズキ鈍い痛みを発していて、起き上がれそうにない。

意識があり、生きているのが不思議なぐらいの痛み。

久しぶりだから、こんなに酷く痛いと思うのかもしれない。




薄っすらと重たい瞼を開ける。

すると、手を伸ばせば届きそうな場所に、透明な袋があるのが見えた。

動きにくい手を伸ばし、袋を掴み、引き寄せる。

袋の中には、丸いパンが入っていた。





「……っ、」





僕はパンを、出来る限り遠くを目掛けて投げた。