全て壊された、あの桜が吹雪く日。
僕は自分が信じてきたものが、壊された日。
「…お義父さんは、僕を、好きでいるの?今も」
あの日、僕は全て壊された。
笑わなくなり、泣かなくなったのもあの日。
「好き?」
義父が聞く。
僕は、エル様が僕に「好き」と言った日を思い出した。
もうあんな日々には、戻れない。
「そんなことより、今まで溜まってきた鬱憤(うっぷん)、晴らさせてくれよ」
「……」
「アタシもやるわ」
義母はバスタオルを床に捨て、警棒を持ってきた。
「せっかく良い道具があるんだもの。
使わないと勿体ないわ」
「そうだな。
シエル、あの部屋に今すぐ行きなさい」
あの部屋。
家の奥にある、南京錠がかかった部屋。
エル様に救われた日、僕が倒れていた部屋。
僕は立ち上がり、真っ暗な部屋に入った。
…今度出られる日は、あるのだろうか。
「――ふざけんなクソがっ!!」
突然怒号が飛び、
僕は思い切り殴られた。



