「何だ、聞いていねぇのか。
俺らなぁ、
脱獄してきたんだよ」
「…え?」
だつ、ごく?
それって…刑務所から脱走して来ること?
「お前を引き取るとか言ったあの家の女が、警察を手配したみたいで、逮捕されたんだよ。
お前に手を出した罪だってな。
可笑しいよな?
だって俺らはお前を正しい道へ行かせようとしていたんだよな?」
…そうだ。
義父はいつだって、僕を殴ったり蹴りながら言っていた。
『これが正しいんだ』
『これが教育だ』
『これが愛情だ、シエル』
だから、信じていた。
これが、愛情だって。
「間違っているのはアイツらだ、シエル。
お前も俺も、何も間違ってはいない。
俺を、捕まえようとする奴や、お前と俺を離れさせる奴こそ、間違っている」
「……」
「俺もお前も、間違っていない。
信じて来た道を歩んできただけだ。
そうだよな?シエル」
「……お義父さん…」
ふと、蘇る。
あの日の記憶が。



