心に届く歌








「はあ…?」




義父の目線が鋭くなる。

マズい、と思った時には頬を殴られていた。

鈍い痛みに耐えきれず、床に倒れ込んだ。




「俺を否定するんじゃねぇぞこのクズっ!」




馬乗りにされ、何度も両方から頬を殴られた。




「お前なんてなぁ!生きていたって意味がねぇんだ!」


「っ」


「世の中の役になんて立てねぇんだ!」


「っ」


「だったら大人しく、俺に素直に殴られてろ!
そうしたらお前でも役に立つんだからなぁ!」


「っ」




ガツンッと力任せに殴られる。

口の中に鉄の味が広がるも、ごくりと飲む。

間違えて口から出してしまえば、ますます酷くなることを覚えていたから。





「そうだ!それで良いんだシエル!
お前はそのまま俺に殴られていれば良いんだよ!!」




妖しく瞳を輝かせながら、立ち上がり僕の胸元を掴み、バキッと音を立て殴ってくる義父。

ドサッと床に倒れ込むと、ガラリと扉が開く音がした。




「結構派手にやったわね~」




扉の向こうから出てきたのは義母。

お風呂上がりなのか、肩にバスタオルを乗せて濡れた髪を拭いている。

冷たい目で僕を見下ろし、義父を見た。




「もしかして手使ってやったの?」


「あ?」


「アレ使えば良いじゃない。
手なんて使って、痛くなるだけよ」


「…ああ」




義父は扉の向こうに引っ込む。

僕は倒れていた体を起こし、ポタリとこぼれたものに気がついた。




「……」




畳にこぼれたのは、真っ赤な血。

鼻に触れると、指が同じように真っ赤に染まった。