「シエルが部屋にいない!?」


「先ほど夕食を別のメイドがお届けした所、ノックしても反応がなくて…。
鍵がかかっていたので、管理人さんにお願いして開けてもらったら、どこにもいなかったのです。

今手が空いている者で探していますが…」


「ご飯はあと!
わたしもシエルを探すわ!」


「あっお嬢様!?」




わたしは廊下に出て、寮へ行く。




「おじさん!」


「お嬢様!」


「シエルがいなくなったってどういうこと!?」


「先ほど夕方、シェフがシエルくんに夜ご飯の足りない材料の買い出しを頼んだのです。

手が開いている者がいなかったため、シエルくんは最初渋っていたのですが、買いに行ってくれたのです。

そうしたら、シエルくん一向に帰ってこなくて…」




渋っていたシエル。

きっとそれは、わたしに出るなと言われたから。

わたしは「何かあったら連絡ちょうだい」と言い、本家に戻った。




「シェフいるかしら?」


「あっお嬢様!」




厨房を覗き言うと、シェフが出てきてくれる。




「シーくん見つかりましたか!」


「シーくん?」


「シエルくんのあだ名です」


「見つかっていないわ。
最後にシエルを見たのはシェフよね?」


「はい。
夕食の材料が足りないことがわかったのですが、買いに行ける手が空いた者がいなくて、シーくんに頼んだのです。

シーくんは無事に買ってきてくれて、
品物をわたくしが預かり、シーくんは後からついて来ていたのですが…。

途中で見失ってしまって、
わたくしも急いでいましたので厨房に戻り調理を再開したら、
シーくんがいないと聞いて…。

申し訳ありませんお嬢様。
シーくんがいなくなったのはわたくしの責任です」


「あなたの責任じゃないわ。

見つかったら連絡するから、
あなたも見つけたら連絡してちょうだい」




わたしは厨房を出て、スマートフォンを取り出す。

シエルの番号を呼び出し電話をかけるも、応答がない。

発信音はするものの、一向に出ない。



シエルと電話したことないけど、

わたしからの番号には絶対出てくれるはずなのに…。

わたしはスマートフォンをポケットに仕舞い、ドクの部屋に向かった。