心に届く歌








☆シエルside☆





「気にするんじゃないよシーくん」




お昼ご飯を完食した僕は、厨房に向かった。

夜ご飯の仕込みをしていたシェフを呼び、

昨日の夜ご飯を残してしまったことと朝ご飯をキャンセルしてしまったことを謝ると、

シェフは豪快に笑い僕の頭を撫でてくれた。




シェフはドクさんから僕が貧血持ちだから鉄分の多い食事を作ってくれるようお願いされた日から、

僕をシーくんと呼び何かと優しくしてもらっている。

本当、この家の人は全員僕なんかにすごく優しくしてもらっている。




「色々シーくんなりの事情があったんだろう?
なら謝ることはないよ」


「でも…せっかく作ってくれたのに」


「気にするな。
美味しいって食べてくれる方が嬉しいよ」


「美味しいです……すごく。
シェフさんの料理、すごく美味しいです」


「ガハハ!それだけで満足さシーくん!
もっとよく食べて、大きくなりなさい。

お嬢様を守れるぐらい、大きくなりなさい」


「……ありがとうございます、シェフさん。
今日の夜ご飯と明日の朝ご飯も、お願いしても良いですか」


「構わんよ!!」


「ありがとうございます……!」




僕は何度もお礼を言い、厨房を出て寮に戻った。




「おーシエルくん。
学校終わるの早かったね」


「いえ……今日は早退してきたんです」


「早退?具合でも悪いのかね」


「学校で……ちょっと。
今は治ったんですけどね」


「そうかい。
あぁこれを持って行きなさい」




おじさんが渡してくれたのは、湯たんぽ。




「お湯を沸かす手間があるが、あったかくなるよ。
風邪の時はあったかくしてよく眠るのが1番だ。

もう使わないもので良ければ、シエルくん使いなさい」


「……ありがとうございます、おじさん」




初めての湯たんぽを受け取り、僕は部屋に戻った。

本当、皆さん優しすぎて、今いる世界が信じられない。