心に届く歌








「ありがとう……もう大丈夫だよ」


「そっか」


「アンスは授業大丈夫?」


「気にするな。
親友のシエルを置いてなんて行けねぇよ。

なんつーかさ、ちょっとお前、何でも抱え込みそうな性格じゃん」


「そうかな……」


「俺の勝手な予想だけど。
だから放っておくと何か心配」


「ふふっ、何それ。
僕一応アンスより年上なんだけどな」


「…………は?」





とし、うえ?





「僕今19歳で、誕生日を過ぎると20歳になるんだよ」


「は!?マジかよ!!」


「1個上なだけだから、気にしないでね」




にこりともシエルは笑わず、無表情のままだけど。

その声は少し嬉しそうに聞こえた。

嬉しそうつーか、俺をからかうような口調だ。




「つまりシエルはエルちゃんと同い年なのか?」


「そうだよ」




シエルはゆっくり体を倒し、横になる。




「でも、本当はいくつかわからないんだよね」


「は?」


「多分、19歳で次が20歳。
証拠がないから、自称なんだけどね」


「自称!?」


「誕生日っていうの、単語しか知らないから。
一体今自分がいくつなのかわからなくって。

でも、ドクさんが知り合いの情報屋を使って調べてくれたら、19歳だってわかったから、多分19歳なんだと思う。

ドクさんの知り合いを疑うわけじゃないけど……本当に19歳なのかな」




シエルは布団をぎゅっと握り、体制を変え俺の方を見た。




「本当の年齢わからないから、今まで通り接してくれたら僕も嬉しい。

初めてだから。
僕のこと親友、だなんて言ってくれる人」


「シエル……。
俺だって、初めてだよ」



クザンの家を見ない、初めての友達。

それが、シエルだから。




「ふふ……嬉しい。ありがと……」




シエルは瞼を閉じ、数分し寝息が聞こえてくる。



「話し疲れたんだろーなー。
ゆっくり休めよ、シエル」




俺は布団を掛け直す。

一人っ子の俺にとって、シエルは弟みたいな存在だ。




「さて……連絡でもしますか」




俺は独り言ち、保健室を出た。