心に届く歌








通されたシエルの部屋は、2階にあった。

角部屋で、ベッドと机と大きめのクローゼットが置かれているシンプルな部屋だった。

物も何も置いていないし、殺風景で寂しい部屋だ。





「教科書……ありがとう」


「どこに置けば良い?」


「……机の上に置いておけば良いよ。
運んでくれてありがとう……」


「んじゃ行くか」





俺はシエルの手を引き歩きだす。

シエルの手から鍵を奪い、閉めていると、シエルが俺の手から離れた。





「何するのっ……」


「呼んでいるんだろ?……エルちゃんが」


「え……どうしてエル様の名前…」


「来いシエル」





俺はシエルの手を引き寮内を歩き、おじさんに会釈をし、

屋根付き渡り廊下を歩いて本家に向かう。




「部外者が勝手に入るな」




本家の入り口には武装した男ふたりが立っている。

いわゆるガードマンだ。




「俺の名前はアンス・クザンだ」


「……どうぞ、お入りください」




すんなり入れた俺を見て、シエルは驚いていた。

何故俺が名前を言っただけで入れた理由を話してしまいたいけど、

もうすぐわかるので黙って隠した。