心に届く歌








確かに熱っぽいかも。

溜息をつきながら学校の敷地内を歩いていると。





「セレーネ」


「……先生…」


「丁度良かった。これを渡そうと思ったんだ」





さっき怒鳴られたことで体が震えていると、

先生は僕の両手に教科書を再び山積みに置いた。




「さっきのは教科書だが、こっちは資料集だ。
頑張って持って帰ろよ」




先生は渡すだけ渡して行ってしまう。

僕は腕の痛みに顔をしかめた。




「はぁ……けほけほっ」




咳き込みつつ両手に教科書を持ち歩いていると。

サッと僕の両手から教科書がなくなった。




「えっ?」


「やっぱり心配だわ。
家までお前のこと送るよ」


「……良いの?」




隣に立っているのはさっき別れたばかりの彼。




「良いに決まっているだろ。
困った時は親友を頼れ親友を」


「……頼る…」


「ほら案内しろ、俺シエルの家知らねぇから」


「半分持つよ」


「風邪引いているお前に運ばせられるかよ!」




僕は先を歩きだした彼を追った。





本当、何で皆、“お友達”とか“親友”とか言葉で、優しく出来るんだろう。

エル様の言う通り、困った時は助けてくれるものなのかな?




……わからない。

だって僕にとって“ヒト”は、自分を否定する存在でしかなかったから。