セレーネ家は、なかなか立派な木造の平屋だった。
だけど木は年季が入っていて、古びているように見える。
築ウン十年経っていると思われる。
見た限りインターフォンはない。
わたしはドクに頷きかけ、引くタイプのガラス戸をノックした。
控えめにノックしたつもりだけど、ガンガンガンと音が響いた。
「……どちら様?」
出てきたのはあのおばさん。
太っていて、やっぱり痩せ細ったシエルの母親に見えない。
「……え?あなたは」
「2度目ですね。
改めてご挨拶させていただきます。
わたしはソレイユ王国100代目正統王位継承者
エル・ソレイユと申します。
ご子息あるシエルに会いに来ました」
シエルの名を出すと、ピクリとギリギリあるかないかの眉毛が上下する。
だけどパッと愛想が良さそうな笑みを浮かべた。
「シエルでしたら、疲れて眠ってしまいました。
また明日お越しください」
そう言っておばさんは扉を閉めそうになる。
わたしは両手で全て閉まるのを食い止めた。



