それからの僕はモンスターと戦い続ける日々を送った。初めてアヤカと出会った日の夜からずっと同じベッドで寝ているのだが、そのせいで僕の中のモンスターは力を増していくばかりで、ほとんど毎晩、拳を握りしめ、歯を噛みしめて耐えた。



 しかし、モンスターもなかなか手強い。頭の中で無意識のうちにアヤカの透き通った肌を想像してしまう。しかし、いやいやダメだ。僕は頭を振りかぶり、ダイニングで換気扇を回しながらアヤカの煙草を吸った。火の付け方は、スマホで調べた。初めのうちは、まずいものが口いっぱいに広がり、思わずトイレで吐いたが、それも次第に慣れて行った。



 アヤカはきっと僕が煙草を吸っていることに気付いているだろうと思う。普段は一箱しかストックを置いていない。煙草の減りが早いことに気付いたのか、三箱は常備するようになった。



 日に三本は煙草を吸う。多い時で五本吸うこともあった。煙草は人をダメにするものだと小学校の保健の授業で習ったが、まさにその通りで、僕は完全にダメな人間____モンスターになっていた。