実を言うと、僕はアヤカを抱きたかった。



 抱きたいという感情の中には、性欲も含まれていたが、それよりも紛れもない愛のほうが大半を占めていた。昔からの旧友のように感じるアヤカに対して、恋心を抱いていいのか、将又それは邪道なのかさえ分別がつかない人間に僕はなっていた。



 そりゃ溜まりきった欲求を開放したいというのも正直なところだが、一つ屋根の下、年頃の女性と一緒に暮らしているこの状況が一種のモンスターのようなものを生み出していて、それに抗える作用を持った薬があるとするなら……思いつかない。完全に壊れている。僕はこのままではいけないと思った。このままだとアヤカに純粋な想いが伝わらない。



 アヤカを不幸にさせてしまう。