それからアヤカと少し早めの夕食をとった。大きめの鍋で茹でたパスタをフライパンで熱し、そこに切ったベーコンを入れ、ケチャップとウスターソースで味付けをする。ナポリタンというには烏滸がましいかもしれない。



 それをお互い早々と食べ終わり、一緒に食器洗いをした。アヤカが磨いた皿を僕が拭くといった流れ作業だ。



「何だかこうしてると本当の夫婦みたいね。息もぴったりだし、いっそのこと私のこと好きになってみない?」



「みない。」間髪入れずに答えた。



「こうして一つ屋根の下、可愛い私とこうして肩を寄せ合って暮らしているというのに、あなたはちっとも私のことを好きにならないわね。もしかして、同性愛者なの?」



「そうだ。」めんどくさいのでそう答えた。



「そっか。同性愛者なのね。それならしょうがないわね。でも、安心して? 私、同性愛者だからと言って、あなたのことを軽蔑するようなことはしないから。それに世の中には同性、異性に関係なくどちらも性としての対象に見れる人もいるみたいよ? あなたもその素質があるのなら、私のことを好きになる可能性もあるってことよね?」



「それはない。」ここはきっぱりと答えた。