そんな両親について、少し込み入った話をすると、二人とも大学のサークルで知り合ったらしいわ。どういうサークルかは忘れたけれど、確か本を読み耽って、それを仲間内で談義するみたいなものだったと思うわ。



 それから、大学を卒業した二人は、今私たちがいる部屋よりも小さなアパートで同棲を始めたの。



 父が朝、寝癖を付けて起きてくると、母は玄関からワンルームへと続く廊下に無理矢理作られたようなキッチンで粉末スープを作って、それをカップに注いで出した。コーンスープの日もあれば、ビシソワーズの日もあって、コンソメスープの日もあった。父は日替わりスープを正方形の炬燵机に座って新聞を読みながら啜った。猫舌だったみたいだからゆっくり時間をかけて飲んだらしいわ。