これは僕がまだ家賃59000円の家具家電付き1DKのアパートに住んでいた頃の話である。



 あれでちょうど花嵐時分。軽音サークルの新歓バーベキュー・パーティーに無理矢理連れて来られた僕は、そこでアヤカという女性と出会った。そして、彼女から一方的且つ半ば強制的な求愛を受けた。



 アヤカからの求愛は激しく傲慢で、稚拙で、自分勝手で、まるで小さな子供が駄々をこねるようなものであり、それと同時に小さな子供の持つ純粋さも兼ね備えている、そんなダラダラとした五月病のような愛だった。



 そして、そんな五月病的な愛に僕は戸惑い、半ば呆れ、汚い言葉を使うならウザいと思い、素直になれず、つんけんにし、彼女の愛をなかなか受け入れることが出来なかった。