「ねえ、私の身体を見てどう思った? 綺麗だった? 好きになった?」
隠そうとしないで堂々とバスタオルで身体を拭くアヤカから視線を逸らした。こんなことを訊かれれば、もちろん綺麗だ。同時に好きにもなりかけた。でも、いやいや、ない。冷静に考えれば人前で平気で裸になるような女にろくな奴はいない。
「どうもしない。ただ、風邪をひかなければいいなとは思った。」
僕はアヤカに嘘をついた。きっと見抜かれているだろう。僕は嘘をつくのが下手なのだ。
「どうでもいいんだけど、あなた、女物の下着とか持ってないかしら?」
「へ?」
「色とか柄に指定はないわ。履けるだけでいい。あ、ブラジャーは付けないで寝る派だから大丈夫よ。」
そうか。アヤカは確かにここに住むと言った。言ったが、荷物は何一つ持ち込んでいない。着替えがないのだ。
「それなら家に取りに帰ればいいじゃないか。」
「あら? そうしたらあなたと居れる時間がその分、短くなっちゃうじゃない。」
まったく、ここまで来ると図々しく思えてくる。



