僕の苦笑いがだんだん、満面の笑みに変わっていく。傍に女子高生の集団がいて、怪訝そうな目で僕を見て、何やらひそひそと話している。



「なんなら、私と学生結婚でもする?」



「おいおい、それはまだ気が早くないかい?」



「いいじゃない。かの有名な小説家だってそうだったみたいだし。」



「それじゃ、キミがその小説家になるのかい? 何年か経ったある日、ヤクルトスワローズの試合なんかを観ている最中に、書く気が起きて、閉店後、テーブルにノートパソコンを広げたりなんかして、フランツ・カフカ賞でも目指すのか?」



「それはないわね。私、書いてみて思ったんだけど、小説の才能ないみたい。読むだけで満足だし、それに野球もそんなに詳しくないもの。どちらかと言うと、サッカーの方が好きよ。」



「僕もだ。」