「帰るんなら連絡くらいしてくれんと。」 母は相変わらずだったが、どこか以前に比べて痩せているように見えた。きっと、父の代わりにパートに出たり、看病したりといろいろと苦労しているんだろうと思う。 「それで、何? まさか大学辞めた?」 「辞めてないよ。」 「なら、何? お金はないけんね?」 「お金もらいにわざわざお金払って帰るわけないだろ?」 母はリンゴを向いたものを冷蔵庫から出してきて、ラップを剥がして、テーブルに置いた。 「おー、怖い怖い。もうすっかり東京に染まっとること。」