派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「ほんとよ、蓮ちゃん。
 社長、ほんとに浮いた噂がなかったの。

 私、密かにゲイなのかなって思ってたわ」

 おいおい、と忠実なる秘書の爆弾発言に、脇田も苦笑いする。

「だって、いつも一緒に居るの、脇田さんだし。
 たまに私用の電話かかってきても、全部男の人からみたいだし。

 だから、今、見てて面白いの。

 ようこそ、蓮ちゃん、秘書室に」
ともう決定事項だと覚悟させるように蓮に言った。

 葉子でさえも味方でない、と悟った蓮は半泣きになる。

「私は嬉しいわ。
 下の子が入ってきてくれて。

 一度、後輩をビシバシ仕込んでみたかったのよ」
とにんまり笑う。

 蓮は、なんとなくだろうが、すぐ側に居た自分の腕をつかんできた。

 その手を見下ろし、少し笑う。

「じゃあ、特に辞令もいらないだろうから。
 すぐに下に話を通しておくよ。

 荷物、まとめて上に来てね」

 そう自分が言うと、
「展開早すぎですよ」
と蓮は情けなげな顔をしていた。