「まあ、人って豹変するよね、僕みたいに」
「そうなんですよー」
と蓮は眉をひそめる。
「変わらない人も多いけど。
変わらなさを意識しすぎて、訳のわからないことを言い出す人も居るし。
そうかと思えば、此処ぞってときに、絶対言ってはいけないことを言ってきたり……」
「蓮ちゃん、誰のこと言ってるの?」
口が重くなる蓮に、奏汰は、
「社長の前に付き合ってた誰か?」
と訊いてきた。
「付き合ってはいませんよ。
……信頼してただけです」
と蓮は目を閉じる。
本当だ。
今まで生きてきて、好きだと思ったのは、悔しいことに、渚さんだけだ。
珍しく深刻になっていると、頭の上で、奏汰が突然、暇なことを言い出す。
「あ、ねえ、蓮ちゃん。
これって、壁ドンじゃない?」
確かに奏汰は壁に手をついてはいるが。
蓮は自分の上に影を作る奏汰を見上げ、
「上過ぎます」
とその手を指差した。
「じゃ、これで」
としゃがんだ奏汰は蓮の側の壁に手をつき直す。
蓮は後ろの段に肘をつき、明らかに、さっきより遥かに近い奏汰の顔から遠ざかった。
「そうなんですよー」
と蓮は眉をひそめる。
「変わらない人も多いけど。
変わらなさを意識しすぎて、訳のわからないことを言い出す人も居るし。
そうかと思えば、此処ぞってときに、絶対言ってはいけないことを言ってきたり……」
「蓮ちゃん、誰のこと言ってるの?」
口が重くなる蓮に、奏汰は、
「社長の前に付き合ってた誰か?」
と訊いてきた。
「付き合ってはいませんよ。
……信頼してただけです」
と蓮は目を閉じる。
本当だ。
今まで生きてきて、好きだと思ったのは、悔しいことに、渚さんだけだ。
珍しく深刻になっていると、頭の上で、奏汰が突然、暇なことを言い出す。
「あ、ねえ、蓮ちゃん。
これって、壁ドンじゃない?」
確かに奏汰は壁に手をついてはいるが。
蓮は自分の上に影を作る奏汰を見上げ、
「上過ぎます」
とその手を指差した。
「じゃ、これで」
としゃがんだ奏汰は蓮の側の壁に手をつき直す。
蓮は後ろの段に肘をつき、明らかに、さっきより遥かに近い奏汰の顔から遠ざかった。



