「おはようございます」
と秘書室に行くと、葉子が、
「あらー、蓮ちゃん。
お肌つやつや、お目目キラキラ。
恋の始まりは、コラーゲンより、よっぽど効果あるわね」
と言ってくる。
「あーあ、私も一回別れてやり直そうかしら」
ええっ、と苦笑いしたあとで、給湯室に行ったのだが。
戻ってきたら、脇田が渚に怒られていた。
「ど、どうしたんですか?」
そっと葉子に近づき、小声で訊くと、
「脇田さん、ミスしちゃったみたいなの。
ダブルブッキング。
珍し」
と言う。
「申し訳ありません。
今すぐ、なんとかします」
と言う脇田に、渚は、
「いい。
俺が……」
と言いかけ、
「わかった。
お前がなんとかしろ」
と言った。



