派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「わかった。
 じゃあ、昼間のリベンジだ。

 愛してる、渚って言え。

 そしたら、お前の言うことをなんでも聞いてやる」

 いや、なに言ってんですか、もう~。

「言えませんってば……」

「言わないなら、帰るぞ」
と渚は機嫌が悪くなる。

「お前、ほんとに俺のこと、好きじゃないんじゃないだろうな?」

「いや……好きだと思う、その根拠はなんなんですか」

「言ったろう。
 お前は、嫌いな男だったら、強引に来られても、絶対に受け入れない。

 それこそ、舌でも噛み切って死にそうだ」
と言ってくる。

「はあ……それはまあ、確かに」
とちょっと思い出しながら言うと、渚は更に機嫌悪く、

「今すぐ言え。
 言わないのなら帰るぞ」
と言う。

 だが、渚を見つめて、黙っていると、渚は本当に立ち上がり、
「わかった。
 じゃ」
と出て行ってしまった。